2017年7月27日
NGO・NPOのウェブ活用:時代遅れにならないためには? キャンペーンで失敗しない方法は?
お久しぶりです! NGO/NPOに役立つ情報が豊富な英語圏のブログやニュースを読み漁って、これは! と思ったものを選んでお届け。
2017年7月号です。(弊社のお客様を想定して選びましたが、NGO・NPOのウェブ担当者にはきっと役立つはず。)
(画像:猫だってトレンドには敏感でありたい…。 via: Pinterest )
あの有名団体はどのように時代に適応してきたのか
有名NGOやNPOについて「 昔は有名だったけど最近は存在感薄いね 」とか「 活動がずっと同じで古臭いイメージだよね 」などという評判、よく聞きますね。長く活動する団体がこういう状態に陥るのを回避して“いかに時代に合った団体であり続けるか”という、なかなか重要な話について、いくつかのケースが紹介されていました。
- 支援対象の劇的な変化 に目を向け、活動のミッションをより深化させていく
- 団体の名をより一層浸透させるため、広告代理店を雇い、タグライン(キャッチコピー)などを変える
- 管理費がかかり過ぎだ、という支持者からの根強い批判を受けて郵送DMを減らし、代わりに その内容を強化する
などが紹介されています。
さらにNGO/NPOが時代に取り残されないために、何か変更する前の「テスト」と同様、変更後の「調整」も重要、特に ソーシャルメディアの台頭と共により絶え間のない改善が欠かせない と指摘しています。
元記事: How Leading Nonprofit Brands Stay Relevant
WWFはソーシャルメディア上の支持者をどう活性化したか
WWFが(ちょっと古いですが)2015年、情報が洪水のように溢れるソーシャルメディア上でサポーターをキャンペーンにどのように動員したかという分析。
- Twitterユーザーの影響度を分析し、インフルエンサー(影響力の高いユーザー)を選び出す
- インフルエンサーに それぞれの興味に応じたメール内容でWWFのツイートのリツイートを依頼する
- さらに迅速に行動してもらうため、セグメントした内容を携帯向けテキストメッセージ(SMS)でも送る
このようなやり方で動員していった結果、WWFが行動を呼びかけた3つのアクションに対して約4,000のツイートが生まれるなど高い効果があったとのことです。“己の支持者についてよく知れ”ってことですね。
参考: How World Wildlife Fund Used Segmentation to Activate Social Influencers for Their Cause | npENGAGE
NGO/NPOの組織内コミュニケーションモデル
NGO/NPOの組織内のコミュニケーションの型を調査し、4つの分類とその割合をまとめたレポートがありました。
- 統合型(割合 20%)
- コミュニケーション担当とファンドレイジング担当が統合され、一緒に業務の意思決定をしている
- 中心型(18%)
- コミュニケーション担当がコミュニケーションやマーケティングの戦略を決めている
- 内部エージェンシー型(18%)
- コミュニケーション担当は内部エージェンシー的に戦略的な役割を持つが、別の部署が決めた業務を遂行している
- CEO主導型(19%)
- コミュニケーション担当はCEOの直下で業務を行っている
うち、統合型(Integrated)と中心型(Centralized)の2つのモデルが効果的だという結果が出たそうです。具体的には、「戦略に基づくコミュニケーションの改善」や「職務への満足度」で高い数値を示したとか(2017 Nonprofit Communications Trends Report | Nonprofit Marketing Guide p37)。
参考: Communications Team Models: What’s Best for Your Nonprofit? | Kivi's Nonprofit Communications Blog
キャンペーンを日本の文化になじませるには
グローバル(全世界的)なキャンペーンをある国の文化・慣習になじむよう展開するのはどの団体も苦労しているようですが、日本の特殊性ってどんなものでしょうか?
350.orgの事例を解説した記事から拾ってみます。
- 日本は長く民主政治が行われインターネット普及率も新聞購読率も高く ネットキャンペーン向きな国に思えるが 実際はそうではない。
- アメリカやオーストラリアなどと違い 日本には学生が社会運動の中心になる風潮 があまりない。
- 年金基金などをターゲットにするには、組織の知名度の低さなどから考えると厳しい。
- そこで日本人の貯蓄率の高さなども考えて、「一般の人によるダイベストメント(投資引き上げ)」を促すキャンペーンにした。
さらに ターゲット企業を強く攻撃するようなメッセージは日本には合わない といったこともテストの結果わかり、調整していったとのことです。
参考: Localising a global campaign: Learning to do divestment in Japan | MobLab
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