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どういったエクスペリエンスを提供すべきか?エクスペリエンスを向上させるための手法とは?

2008年10月 1日

どういったエクスペリエンスを提供すべきか?エクスペリエンスを向上させるための手法とは?

投稿者 竹村

お久しぶりです。SEの竹村です。

2008年9月19日に目黒 雅叙園のセミナーに行ってきました。

▼リッチクライアント・カンファレンスIV
https://itmedia.smartseminar.jp/public/seminar/view/31

基調講演と、あとはずっとAトラックのセミナーに居ました。

このブログ上では、下記の話についてそのエッセンスと感想を書いていこうと思います。

  - NRI 田中達雄氏:エクスペリエンス・テクノロジーはどこまでUIを最適化していくのか?
  -- UIのリッチ化とコモディティ化
  -- エクスペリエンスの差別化
  -- エクスペリエンス・デザイン
  -- Site Optimization

  - Microsoft 川西裕幸氏:ビジネスWebアプリにおけるユーザエクスペリエンス戦略
  -- Office2007は使いやすくなったのか!
  -- ユーザエクスペリエンスを向上させるための手法

  - まとめ

エクスペリエンス・テクノロジーはどこまでUIを最適化していくのか?

NRIの田中達雄氏のセミナーですが、、以前エクスペリエンス・テクノロジーについて
別のセミナーでお伺いしたことがあります。それは下記のWikiにまとめてあります。

▼利用者にターゲットを絞った今後のRIA戦略のトレンドとは
https://www.ark-web.jp/sandbox/wiki/309.html

そちらの内容を要約すると、リッチなUIを普及させて提供し続けていれば、
やがてそれが常識となりデファクトスタンダードになる。
そして、その一歩進んだエクスペリエンスの進化系となるエクスペリエンス・テクノロジー
について説明しましょう、、というような内容でした。


UIのリッチ化とコモディティ化

今回のセミナーでは、従来技術によるUIのリッチ化は、コモディティ化していくだろう。
という話から始まりました。

ここで言う従来技術とは、Ajax, Flash/Flex, AIR/WPFなどを利用して
ユーザの目的をインタラクティブに達成できるような使いやすいアプリを
開発する技術のことです。

Ajaxのライブラリはものすごいたくさん出ていますし、Flexが利用できることで
Flashコンテンツの制作者数が増えてきています。また、AIRのバージョンもFlashと
平行して上がってきています。WPFは追っかけてませんがWindows開発者が
既存技術を利用して開発できるそうなので、これまた開発者数が増えてきているのでしょう。

そうした中で、リッチな技術がどんどんコモディティ化していくと、
『よりエクスペリエンスを重視するUI』が必要になってくる、ということでした。

このエクスペリエンスをどのように重視していくかについてでてきたのが
エクスペリエンスの差別化、ということだと認識しています。

エクスペリエンスの差別化

「経済は感情で動いている」という本を読みました by 田中氏

▼行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4334033547

この本では、感情や心理的な価値で差別化を図る、という手法について書いてあります。

従来の『顧客満足度』による手法は、下記のような5段階評価を
ユーザにアンケートして、「不満」や「やや満足」を「満足」に
する程度なのではないでしょうか?

 Q.hogehoegはいかがでしたか? 1つお答えください。
  
  1.不満
  2.やや不満
  3.やや満足
  4.満足
  5.非常に満足
 
 ↑『顧客満足度』による5段階評価の例

中途半端なエクスペリエンスではベネフィットは得られない。
「不満」や「やや満足」を「非常に満足」へ高めないと
顧客ロイヤリティやエンゲージメントに貢献できない。

「非常に満足」=「ファン」であり、一度「ファン」までたどり着いた層は
そのサービスを受けられるのであれば、何か問題が起きたとしても
「ファン」でありつづける。

例)アメックスのカードを紛失したヒトは、紛失時の応対に感動したために
  以降アメックスのカードを手放すことはないそうです。

何のためにリッチなサイトを作るのか? という問いを考えてみると、
より満足してもらうためであり、コモディティ化の波にのまれないように
差別化を図るということだと理解できるかと思います。


エクスペリエンス・デザイン

どのようにエクスペリエンス・テクノロジーを作っていくか、
ということが次のエクスペリエンス・デザインの話だと思います。

エクスペリエンス・デザインは、企業ブランドと整合性の取れたサービス(エクスペリエンス)を
デザインすることが重要、ということでした。

例えば、企業ブランドとして非常にエコなイメージを持たせる企業が
ユーザの要望が多いからといって非エコなサービスを提供するのは
企業ブランドのポリシーと整合性が取れていないといえるでしょう。

エクスペリエンス・デザインの設計技法の1つとして、ユーザ中心デザインという
ものがあり、それは下記のような流れとかと思います。

  1.ペルソナを利用してユーザの意見を聞いて、
  2.ユーザテストを行って、
  3.ブランドと合ったサービスを考えて、
  4.最も最適なエクスペリエンスを与える

この「エクスペリエンス・デザインなしには成功はありえない」と田中氏がおっしゃっていました。


Site Optimization

エクスペリエンス・テクノロジーの分析・管理系技術のツールの1つに、
Site Optimizationという方法があります。

これは、下記の流れで一旦ユーザの反応を知識ベースにためておき、同じような属性のユーザが
訪れた場合に知識ベースから最適とされるコンテンツを提供する、というものです。

方法は下記のようにします。

  1.サイト情報を変更して、モニタリングする
  2.ログとして残して、分析する
  3.顧客をクラスター化する
  4.新規顧客がどのクラスターに属するか判断して、最適な内容を返す

3.の知識ベースのコアである、クラスター化情報は本人情報のほかに、
他人の情報や他のサイトからの情報が得られればよりベターですよね。

どうやって、他人の情報や他のサイトの情報を得るかというと、
『Project Insight』というプロジェクトがあり、これはJavaFXと組み合わせて
統計情報分析を行うフレームワークとのことです。

▼Project Insightに関する記事

米サン、JavaFXのロードマップを公開――JavaOne 2008が開幕 (2008/05/07)
http://www.ciojp.com/contents/?id=00004600;t=25
サン、ユーザーの統計分析技術をJavaFX上で提供へ
http://www.atmarkit.co.jp/news/200805/08/insight.html


Site Optimizationを利用したサイトは、ペルソナをやって最適化した上で、
さらに36%のコンバージョンをあげているとのことです。

LPO(ランディングページ最適化)もSite Optimizationの方法といえるでしょうね。
LPOもデファクトになりつつあるようで、コモディティ化しかけている技術のようです。要注目ですね。


ただし、これらの知識ベースはすぐには賢くならない。...が、この賢さは競争力となるので、
早い段階から体制、統合基盤、開発手法を作っていく必要がありそうです。

ビジネスWebアプリにおけるユーザエクスペリエンス戦略

次に、Microsoftの川西氏のセミナーですが、こちらはユーザエクスペリエンスを向上させる
アプリケーションを制作する際の手法についてがメインでした。


まず、ユーザエクスペリエンス(以降UX)は、
ユーザ中心設計をベースとした、「機能」「ユーザビリティ」「楽しさ」によって
成り立っている、と定義した上で、UXは「必須」であり「ROI」を期待でき、「付加価値」を
与えると言っていました。

このうち、ROIについては下記の資料で コンバージョン、トラフィック、生産性など十分ROIを期待できる、と話していました。

Nielsen Norman Group Report: Usability Return on Investment
http://www.nngroup.com/reports/roi/


Office2007は使いやすくなったのか!

次に、Microsoft社製品のUXへのとりくみについての話に移ります。

旧Wordからツールバー(機能)がどんどこ増え、Office2003では飽和状態となってしまっていた。
これの対策について、歴代のOfficeでは下記のように対策を練っていきました。

 対策1:Clippy (イルカ) → F2押そうと思ってF1押したら出てきてしまうアレ
  残念ながら、うざいので使われなくなってしまった
 対策2: 適応型メニュー → よく使う機能だけ表示されて、使わない機能は省略されるアレ
 対策3: いかだ型ツールバー → よく使う機能をアイコンとしてまとめたアレ
  メニュー項目の位置が変わるのでユーザを混乱させてしまった
 対応4: タスクペイン → サイドバーなどに付いたヘルプ? (あまり使わないので分からずorz)
  成功事例だけど、1回に1個しか出せない問題があった
 対応5: Office2007型

Office2007で導入した考え方として、『Fitts の法則』があるそうです。
詳しい説明はWikipediaを参照してもらうとして、平たく言うと
「距離が近くてターゲットを大きくすれば効率的」という法則のようです。

つまり、アイコンをデカくしたり、ミニツールバーをマウスの近くしたりしたようです。
これによってMicrosoft社でのユーザテストではユーザビリティが向上された。という
ひとつの事例でした。


ユーザエクスペリエンスを向上させるための手法

UXは、「機能」「ユーザビリティ」「楽しさ」によって成り立っている、と定義していましたが、
このうちの「機能」だけでは不十分で「ユーザビリティ」「楽しさ」をどう提供するかが差別化ポイントになって
くる、ということです。

この「ユーザビリティ」の向上を測るうえで、定量的手法で数値化している。ということでした。
例えば、先ほどのFittsの法則を用いて、ユーザが何秒で作業が終了できるのか、作業間違いは何件未満か
など測定できるデータの裏づけがあるからこそ、製品を自信を持ってリリースできる、とおっしゃっています。

また、これはこの後のパネルディスカッションでAdobeの轟氏が言っていたことですが、
ユーザテスト手法の1つとして、2度3度やってみてユーザが学習し、操作が早く正確になるなら
それはアリですよね。ソフトがどれだけユーザを教育できるか、という視点も大切ですね。

UXのもうひとつの要素「楽しさ」をあげるための手法としては、数値化しづらい要素なので
定性的手法により観測するそうです。それこそユーザテストなどでUXの向上をさせていき、
なるべく数値化して見える化することで、その効果を見える化する。つまりROIを見える化する
ことができるようになります。

このROIの見える化は、顧客にROIを説得するときの材料としても利用できますし、
先ほどの製品リリースのデータの裏づけとしても利用できるので、まずは要件の数値化が重要
ということがよく分かりました。


また、UXに取り組む場合は下記について、明示的に・組織的にやるべきということでした。

- アーキテクチャとして組み込む
- ユーザのフィードバックを得る
- チーム内のユーザ像の共有
- 数値化して測定する

アーキテクチャというかワークフローに取り入れるには組織的強力が必要ですし、
よりユーザのフィードバックを得るには数値化しながら多くの検証が必要と
なります。また、それら検証をする前提としてのユーザ像の共有が必要というわけですね。

また、これをイテレーション開発していくことでUXの向上を図っていくというのが
Microsoftさんで行ってきたUX向上の手法なのだそうです。


まとめ

NRI 田中氏の方では、どういったユーザエクスペリエンスを与えていくべきなのか。
エクスペリエンスの創造をする場合に、どのようにするのか。が分かるような内容
だったかと思います。

Microsoft 川西氏の方では、ユーザエクスペリエンスによるROIと、その対応手法について
理解できる内容だったと思います。


AjaxやFlexなどにより、Webコンテンツのリッチ化は多くなってきていますが、
リッチ化にどのような期待をして、どのような結果になったのかの計測し、
検討して、次のプランを立てて実施するというPDCAのサイクルを回していかないと
単に機能化しているだけでは、ユーザの満足を得られない。その対応には組織力が
必要で、協力してコンテンツと向き合わないといけない。というのが分かりました。

また、PDCAを回していくうちに得られる知識ベースから、ユーザの利用動向が見えてきます。
このあたりの定量的/定性的な測定値からAIによる最適解を提供することもできますが、
それには多大な労力と情報が必要になります。でも、これをユーザペルソナを割り出して
人手で最適解を提供できるようにも持っていけるわけで、今まで以上によりユーザの
サイト内でのアクセスの仕方とその解析に価値が出てくるものと思われます。

リッチコンテンツの提供の仕方とその方法について、いま一度考え直してみてはいかがでしょうか。

投稿者 竹村 : 2008年10月 1日 00:25

カテゴリー: RIA (システム開発)

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