大手メディア vs. 小さなブロゴスフィア(Blogosphere)

ディレクターの安藤です。

BusinessWeek onlineで見つけた記事です。

Big Media, Little Blogosphere
http://www.businessweek.com/magazine/content/05_43/b3956060.htm

これは旧来の大手メディアへの新しい対抗勢力としてのブログポータルサイトのひとつ、Weblogs社の戦略についてのものです。


Weblogsでは、多数のブログをネットワークしたブログポータルを運営し、フリーランスのブロガーを100人以上抱えています。契約ブロガーたちは望むジャンルでブログを執筆し、テーマは子育て、料理から、ソーシャルソフトウェアやオープンソース、RSS、FlashなどIT系、Geek寄りのものまで多岐にわたり、デジタルガジェットを扱う有名ブログ"Engadget"は日本語版も展開しています。

Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/

日本でいえば、All About Japanをブログで運営しているイメージでしょうか。
ビジネスモデルもAll About Japanと似通っており、広告主は希望するジャンルに広告を出すことができ、ブログの投稿者には投稿に対する報酬が支払われる形態です。ユーザーは、ニッチで深い情報を無料で得ることができます。

Weblogs.incは、10月6日にAOLによる買収を受け入れたことが報道されました。ただし完全に独立した編集権を持ち続け、2500万ドルとも噂される買収金額を元に、機能向上やコンテンツの強化を図るようです。

2003年から始まったブログブームでは、運営側は明確な収益体制を立てることなくひたすら会員数を増やし投資を続けてきた感がありますが、Weblogs.incの取ったプランはひとつの回答となりうるのではないでしょうか。

ブログは民衆による民衆のためのジャーナルであり、企業広告と結びついた運営方針はブログではない、との意見もあると思います。また競合各社もWeblogs.incの後を追うような状況を見て、ブログ関連ビジネスが90年代末期のドットコムバブルのような結末を迎えてしまうかもしれない、と危惧する声もあります。

しかし同時に、民衆のメディアと広告の新しい共存形態を見出すことができ、大手メディアをひっくり返すようなことが起きるのであれば、それも痛快な事件だと思います。大手メディアには、ロングテールを追い、少数のユーザーに対してニッチな広告を打ち、ユーザーからのフィードバックを受けるというのは不可能なわけですから。