**「トヨタ生産方式におけるものづくりとソフトづくり」~ [#z2ae81ac]

&color(red){赤字は進地の感想};

-名古屋工業大学客員教授、トヨタ社友、黒岩氏(skuro@nitech.ac.jp)

-全てのビジネス活動は人間系ー機械系(ICT系 Information & Communication Tech)で表現できる

-トヨタも、ITも殆どが人間系である

-トヨタ生産方式は人間系を強くした所に特徴がある

-PM/TQM/TPSをIT(ソフト)業界も学ぶべき(守破離)

-トヨタの本質
--人間力をいかにあげるか?
--体系の把握、全体の俯瞰が大事(大事なのは課題発見、問題発見、改善・改革力)
--枝葉末節に捉われるな(かんばん、あんどん、見える化とか・・)

#blikimore;

-日本のIT投資は米国に大きく劣る
--人間性重視の日本と技術重視の欧米の差でもある

-ERP/SCM/CRM/KMなどのビジネス系は日本の導入は劣る
--会社の文化を変えてしまう作用を持つから

-日本はソフトウェアの失敗率=70%
--一般R&Dは60%より多い

-本当のユーザーは窓口じゃない(情報システム部はユーザじゃない。窓口にすぎない)
--だから、窓口だけで全ての仕様がわかるわけがない
--現業を見よ

-なぜ日本の「ソフトづくり」は弱いのか?
--ユーザ企業のITマネジメントの低さ
--くら〜い職場環境
--「足る」を知る
---金は出すから人月稼業という図式は頭が悪い組織ほど儲かる仕組み(発注側も受注側も変わらないといけない)
--暗黙知重視

-ソフトウェアは国内のシェアが大きいものだから、外国に対して挑戦する意識が低い

-優良企業の活動パターン
--QCDの同時改善
--顧客、サプライヤーとの密着
--階層、部門数の少ない組織

-日本の自動車産業はまだまだ成り上がりモノ

-戦後、日本に米国から科学的管理法やSQCが入ってきた
-1980年代にトヨタ生産方式が米国に入っていった(かんばん、自動化、JIT)
-現在、再び日本に米国からシックスシグマ、TOC、CMMなどが入ってきた
--ここからリーン、アジャイルへの展開が生まれた
--米国はやはり方法論、シンボルを作るのが上手い

-ソフトウェア業界はあまりに分業化しすぎている(PM/SE/PG/アーキテクチャなどなど・・・)
--間接費ばかり増やしているのは問題

-NUMMI(Toyota & GM)としてGMでレイオフされた職工を雇った
--多能工化した
--ホワイトカラーの役割は【指示ではなく支援】
--小さなチームでの自律的運営
--ラインストップ(問題点の顕在化と改善)
---不具合がきたらラインをストップしてもいいから止める文化を叩き込む(定着に6ヶ月かかった)
   改善点の顕在化のチャンスと捉える

-ハイテクよりも人間性尊重、人間力が生産性の決め手
--同じカフェテリアで社長と飯が食えることの大事さ。職工はロボットじゃない。

-会社トップ/役員がビジョンを示し、後は自律した個が進めるべき

-イノベーションと継続的改善のサイクル(シナジー)が大事

-車やコモディティ商品は売価はお客様が決める
--だから原価を下げることが重要
-だが、ソフトウェアや建築業界は原価に一定の利益を乗せて売価を決定しているし、それを認める社会環境がある
--これでは伸びない

-コストには開発費、設計費、製造費、販売費すべてを入れて考える

-トヨタ方式は人間性重視、従業員満足をベースにJust-In-Timeと自働化(=自律化≠自動化)を柱に顧客満足を達成する

-改善なければ革新(Innovation)無し
--ホームランばっかり狙ってどうする?ヒット打ってればホームランも出るよ

-オーケストラのメタファ(TPS=調和型自律分散システム)
--全体と個の調和で成立つ

-情報の流れをとめるな(無駄な書類仕事、判子とか問題外)

-徹底した無駄の排除

-全ての作業は
--ムダ(ムダを全部とってしまうと人間は2、3日で死ぬので全部無くそうとおもっちゃダメ)
---待ち時間、材料の並べなおし
--付加価値のない必要作業
---ビニール袋から部品を取り出す作業
--正味作業(付加価値を与える作業)

-ソフトウェアにたとえるとユーザにとってはプログラムが成果物
-ドキュメントは成果物ではない。この作成作業は付加価値のない必要な作業

-7つのムダ
--造りすぎのムダ(最悪)
--手持ちのムダ
--運搬のムダ
--加工そのものののムダ
--在庫のムダ
--動作のムダ
--不良品、手直しのムダ

-リードタイムの短縮(=スループットの向上)
--受注から納品までを短縮する=絶対に儲けにつながる=原価低減と同じ

-受注予測(内示)によるPUSH、かんばん(需要)によるPULL
--かんばんは受注予測の精度がよくないと意味がない
--TOYOTAはMRP方式を使わない。自律的じゃないし。
--かんばんは徹底的なPULL~
工程1---> 工程2 ---> 工程3<- 工程3だけが工程2をPULLできる。途中で止まったら全部とめる

-与えられた条件の中で最善を尽くすのではなく、自分、職場、会社変える、条件を変える。

-現地・現物主義に徹する
--現場で人、物、設備、作業方法などを自分の目で判断、改善する
-「5回の何故」による真因の追求
-先ずは行動(実践)
--イノベーションよりも改善重視
-仕組みの改善
-安全と品質の重視

-セル生産方式
--自己完結性がよい。自分達で作り上げたという満足感。
--多能工になる必要性

-情報のリードタイム
--会議の時間の長さもリードタイムを長くしている

-トヨタ生産方式(改善)は販売・マーケティングにも適応できる

-トヨタ工場内では80年代後半にすでにブロードバンドをひき、RFIDも入れてた

-原価は全員に見せる。共有させる。
--命令による原価低減ではなく、自律に訴えかける。

-エルゴノミクス(&color(red){これは後で調べたい。人間工学。疲労の研究?};)

-ノウハウではなくノウホワイ(Know-Why)

-自前主義(エンジニアの誇り)

-&color(red){オープンソースへの投入は在庫を抱えないので自動的にBTO(Build to Order)になっている};

-努力は天才に勝る

-これからソフトウェアはどうすればよいか?
--PDCA(管理/統制ではなく、改善への支援。そして明るい職場に)
--見える化、見せる化の徹底
---ソフト作りの仕事を作業にしてはNG。+改善にしないと。
--システムづくりは顧客との共同作業
---仕様凍結なんてありえない
--人月稼業からの脱皮
--ソフトウェアアーキテクチャの重視

-人に仕事を割り当てず、仕事に人を割り当てる

-個人目標と組織目標のベクトルあわせが重要


**感想 [#v0d1286d]

特に心に残ったのは以下の3点。
-多能工の意識を持つことによる充実感の向上
-原価低減の意識がソフト業界は低い(リードタイムの短縮が利益につながる)
-技術力より人間力、人間性尊重

かんばんやJIT(Just-In-Time)などのノウハウは所詮枝葉末節だというのも面白かった。~
本質は改善の意識であり、問題発見、解決力ということ。

#blikifooter(進地);


tag:[[Agile>tag/Agile]], [[TPS>tag/TPS]], [[PM>tag/PM]]


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